Can't take my Eyes off …Who?

There's nothing else to compare

救世主伝説

手持ちの現場チケット3枚が消滅して*1本来遠征する予定だった公開翌日に半ばヤケクソのような気持ちで見てきたら思っていた以上に良かったんですよ「ゲイツ、マジェスティ」…いやもちろんちゃんと楽しみにしていたし期待もしていたけど。どっちに転がるかわからんなーと思ってたのをいい意味で裏切られた感じ。なのでその日のうちに円盤予約したし2回目も見ました。

というわけで、今まで映画の感想とかあんまり書けてないけど、新鮮味のあるうちにぱぱっとやれるものはやろうと思います。とりとめもないけれど。


ここが良かった「ゲイツ、マジェスティ!」

  • ベースが学園モノ!青春映画!!って感じで新鮮
  • ゲイツやソウゴの“普通の高校生”感の描き出し方が丁寧。さすが諸田監督が現場で「高校生!!」って口酸っぱく言ってただけはある…
  • というか随所の構成が本編1話のトレースなんだけど、「普通の高校生」部分が本編よりも丁寧な分、後のいろいろが効いてくるなと。たぶん本当は本編のソウゴでもこれくらい時間をかけて「普通の高校生」を描くべきなんだろうな…尺の問題…
  • 戦い方にしてもなんにしても、画面にいるのはテレビと同じ役者が演じる同じキャラクターだけど彼らが辿ってきた人生は全然違う、っていうのを前半ちゃんと徹底してるのよね
  • あざといやり方はいくらでもあったはずだけど、ゲイツ・ソウゴ・ツクヨミはあくまで普通に現代で生きてて普通に子供の頃からの友達ってことになっていて、基本の関係性としてはずっとそのまま進むのが実は結構思い切ってる気がする。そこに何かを読み取るのは見た人の自由だしね
  • 最初のカッシーンとの遭遇でビビってるゲイツの対峙の仕方が今までと全然違うことにこっちがビビる。押田くんのお芝居がうまい…
  • カッシーンの声が良すぎることを改めて思い出してなにげにカッシーン萌えが加速しますね!(CV:ツダケンだからな!!)
  • 奥野くんのお芝居がずっと遊びまくっていて、あぁ主人公じゃないからだな…と…w
  • 平ジェネ無印でもそうだったけど、医者と警察って話にめちゃくちゃ絡めやすいんだよな。ストーリーの主線上で、単なる「2号ライダーの先輩」とは別の役割を持って出て来れる
  • 照井さんの「しょちょう」がハァー!!わかる人にはわかるやつー!!ってなるわ。普通に聞いたら「署長」だもんな!!
  • なんか照井さんは当時のアレさの片鱗を出してなくもないけどそこは意図的ってわかる程度だったので…照井さんも伊達さんも素敵な大人!
  • 伊達さんなんか当時も後藤ちゃんや映司より数段大人で柔軟でかっこいい人だったのでそりゃあもうかっこいいわ
  • 照井さん、木之本くんのビジュアルもお芝居も円熟味を増していて、不思議と赤レザーが当時より似合っている気すらする…
  • 海東さんはまぁ、いつもどおりなので…お前よく転校生設定で押し通そうと思ったな!!と思うけどそれくらい面の皮が厚くてこそ海東ではある
  • 医者でも警察でも面の皮の厚い怪盗でもない草加さんだけは、この世界観での役割というよりは視聴者とを繋ぐための立ち位置って感じかなぁ…
  • 黒ウォズを後半まで“溜め”ているので、4人が揃ったときに不覚にもグッと来てしまった
  • ソウゴとツクヨミの記憶について多少賛否があるっぽいけど、私は全然これでアリだと思ったんだよね。前半で描かれている“今”の3人の関係もとても好きだったので。今の…“NEXT TIME”に立脚した同時変身として普通に受け入れていた
  • というかソウゴはカッシーンに立ち向かった時点で本編とも通じる王様としての願いと意志を明確に表しているし、ツクヨミも医者になって困っている人を助けたい、っていう話もあり、既にその生き方の指針は明示されているので、ゲイツとの関係性としてもキャラクターとしての骨子の組み方としてもちゃんとしてると思うし
  • まぁあとはぶっちゃけソウゴとツクヨミのキャラクター強度からしたら記憶くらいどっちでもええわ!ってのもあるなw
  • マジェスティの変身音が思ったよりエモかった。好き。
  • 結局私も平成ライダー全部見てるおたくなので、あの名前の羅列を聞くだけでもそれぞれの生き様が脳裏をよぎってグッとくるみたいなところはある。しかも2号ライダーって1号と違って番組名になってないから、余計に個々人の顔が浮かぶ、みたいなとこあるのかも
  • まぁ僕は2号はカリス派ですけどぉ…
  • ライドウォッチ貼り付けもどうかなと思ったけど、ボタンを押す動きも案外悪くないというかそういうところの見せ方への試行錯誤はやっぱプロフェッショナルですよね
  • もちろんグランドジオウのレリーフ押しもいい。テンポが軽快
  • オーズプトティラとファイズブラスターの頭上を滑空してキックを決めるWFJとグランドジオウの決めの一連のテンポもかっこよくてすごい好き
  • ツ ク ヨ ミ 様 の ラ イ ダ ー キ ッ ク ! ! あなたの夜が来るわこれ…*2
  • ウォズの吸い込みはすげぇ気持ち悪かったです!!悪食…
  • ウォズの言う「君の意志」ってなんだろな…とちょっとだけ頭を抱える
  • エンドロールの青春感がすごい


ざっとそんな感じ…なんだけど、ちょっとだけ与太話。
ひとつひとつの良かったところはいっぱいあるんだけど、どうもそもそもこの作品って今までのライダーのVシネスピンオフとはちょっと感触が違うなと思っていて。
私が履修済なのはW RETURNS・鎧武外伝・スペクター・エグゼイドトリロジー・ビルドNEW WORLD…要はドライブサーガ以外だけど、このへんの基本パターンって「主人公が(ほとんど)絡まない本編のサイドストーリーや設定の開示」か、「主人公が戦線離脱したゆえに視点が変わる」からこそのスピンオフ、って作り方が主だったと思う。というかそうでもしないと本編の主人公に主人公性が引っ張られるんだよね普通は。
なんだけど今回めちゃくちゃ常盤ソウゴ出てるじゃん?…もちろん記憶がない問題もあるし構造自体がちょこちょこジオウ本編の1話をトレースしているのもあるけど、なんでこうもスムーズにゲイツが主人公になってるかって、これ多分「預言者」の存在だな!?と。
預言者…ウォズに「お前が主人公だ」って祭り上げられる方が主人公なんだわ、ジオウ。そういう仕掛けになっている。
そもそもが主人公が祭り上げられるがゆえに、“なる”か“ならないか”の問題を軸として話が進められるんだよねきっと。
常盤ソウゴが主人公なら、常盤ソウゴが魔王になるかならないかが問題になるし、
明光院ゲイツが主人公なら、明光院ゲイツが救世主になるかならないかの話になるというか。
ある意味で主人公性からの脅迫ですよこんなの。主人公たれという制作サイドからのメタフィクション的な脅迫。
その脅迫に対しての抵抗や葛藤を経て、最終的には受け入れるのがジオウ世界での主人公、なんだよね、結果論から言えば。
今回の世界だって、常盤ソウゴは魔王になるって話になってるし、本編でも明光院ゲイツには救世主への導きはあった…んだけど、本編では受け入れたのはソウゴの方だけだったわけだ。そして今回のゲイツも。
ただ本編のソウゴも今回のゲイツも、結局はウォズの導きとは別のところでの“覚悟”からその役割を受け入れてるのが面白いところというかさすがというか。
ウォズの…歴史の、制作からの、枠組みからの要請に応えるというよりも、“友達”のためっていう、ガッツリと個人的で私的な想いにその承諾、覚悟を結びつけているところがすごく平成ライダー的。
私は平成ライダーは“私(わたくし)”の戦士だと思っているので。“公”に対する”私”ね。
みんなのために戦う偶像よりも、自分のために戦う人間であってほしいのだ平成ライダーの主人公には…だってそういうふうに育っちゃったからさぁ…w


なのでゲイツのため…ではないかもだけど、ゲイツの要請でオーマジオウになった本編のソウゴも、照井さんの言う「誰に何を」の部分にソウゴたちを入れたであろうゲイツもとても好きです。ゲイツは一応本編での記憶もベースにしているけど、照井さんに「ずっといい顔になった」って言われた覚悟の部分は“今”のソウゴとツクヨミに対する気持ちだしね。
その意味では本当は黒ウォズもなんだろうと思う。ゲイツを主人公に祭り上げた白ウォズも消えたラスト、ジオウが持つ仕掛けからすれば黒ウォズがソウゴを祭り上げる新しい話がはじまってもおかしくないんだけど、少なくともエンドロール時点でその気配はないし。あれは本編から来るウォズの私情でしかないんじゃないかと。ひとつ屋根の下で過ごした私情。


…ってまぁそんなこと言ってるけど、なんやかんやで今後は赤ウォズがツクヨミを祭り上げる「ウォズ&ツクヨミ」作ってもいいよー!!待ってるよー!!

*1:その後2枚増えたから計5枚になった

*2:キバのクイーン処刑演出は紅い月ですが